近年、オトナ世代は、若手の言動を理解できないイライラ、腑に落ちないモヤモヤを抱えつつも、指導の際は「パワハラ」と感じさせないように、気遣いや遠慮が求められるようになりました。テレワークの急増も、職場の世代間ギャップに拍車をかけています。
そもそもオトナ世代が若手にストレスを感じる原因は、オトナの考えと、若手の行動のすれ違いによるものがほとんどです。しかし若手に対して「けしからん!」と怒ったり「理解できない!」と嘆いたりしていたことを、冷静に分析するだけでスッキリすることもあります。

本連載は、拙著「イライラ・モヤモヤする 今どきの若手社員のトリセツ」を一部抜粋し再構成してお届けします。

  • オトナ世代が違和感をもつ若手社員の言動を具体的にピックアップ
  • ギャップやストレスの正体を分析
  • 円滑なコミュニケーションや適切な指導法を考察

という3ステップで、オトナ世代にとっても必要なストレスマネジメントについて解説していきます。

1 職場の電話に出ないと仕事にならないでしょ!

オトナのイライラ・モヤモヤ
おいおい、オフィスにいて、かかってきた電話に出ないって、それじゃ仕事にならないでしょ。自分が若い頃なんか、電話は新人が出るものだっていうのが常識だったよ。むしろ、3コール以内に出ないとドヤされてたもんだけどねえ……。

若手のホンネ
すいません、ウチ固定電話ないんで、電話に出る習慣がなくて。誰からかかってきているか分からない電話に出るって、やったことないんです。親からも知らない人の電話出るなって言われて育ってきたし。職場の電話が鳴るのって、ぶっちゃけ怖いっすよね。

オトナ世代が子どもだった頃には、当然のように家に固定電話がありました。親にかかってきた電話の様子から、見ず知らずの人への挨拶、身内の呼び方、取り次ぎ方を自然に覚えていきました。親の言葉づかいから、敬語の使い分けなどを学んできたともいえます。

しかし最近では、物心ついたときから、家に固定電話がなかったという若者もいます。スマホ世代の彼らは、誰からかかってきているか分かった上で、電話に出るのが当たり前。出るか、出ないかも自由だし、「もしもし」はもはや死語で「今、どこ?」から始める時代なのです。彼らが丁寧な電話の出方を知らないのは、ある意味、不可抗力です。

だからといって、電話に出なくていいわけではありません。
電話のとり方、対応を知らないし、何を聞かれるか分からないから出るのが怖い。電話を怖がる若手にどうやったら、電話をとらせることができるのか。(コロナ禍でテレワークが広がっているとはいえ)これは、今の職場において、小さいようでけっこう悩ましい問題です。

2 会議中にスマホいじるのって失礼すぎない?

固定電話が苦手な若手とは打って変わって、スマホと一緒に育ってきた世代ならではのこんなケースもあります。

オトナのイライラ・モヤモヤ
最近、会議中にスマホをいじりだす若手が多くて困る。こっちが話をしているってのに、「人の話を真面目に聞け!」と怒鳴りたくなるのをこらえるのに一苦労するくらいだ。今どきの若手がスマホ中毒なのは知ってるが、それとこれとは違う話。ほんと、ビジネスマナーがなってない。

若手のホンネ
この前だって、出てきたデータの信ぴょう性が微妙でググったら怒られたけど……。真面目に聞いているからこそ、なんですけどね。知らない用語が出てきたら、その意味をすぐに調べたほうが会議についていきやすいし。そっちのほうがいい議論になると思うんだけどなぁ。

みなさんは、会議中に自分の話を聞きながらスマホをいじり始めた若手を見て、イラッとしませんか? 筆者は「スマホ置いといて人の話を真面目に聞け!」と怒鳴りたくなった経験が何回もあります。

しかし、若手のホンネにもあるように、実は議題にコミットしているからこそスマホをいじっているというケースは少なくありません。
社内で若手と会議をしていたときのことです。ある飲食チェーンについて多角的に分析するという議論の最中、メンバーの一人がいきなりスマホをいじり始めたのです。
イラッとしたのもつかの間、「あ、全国で152店舗です。ちなみに首都圏では55店舗展開しています」との発言。彼は、議題にした企業の情報を検索していたわけです。若手の検索スピードはすごい。「お、おう。ありがとう」。こう返すのがいっぱいいっぱいでした。

真剣に相手の目を見ながらも、「お腹が空いたなあ……」とお昼ごはんのことを考えている人と、目をそらしてスマホをいじりながらでも、相手の話の裏付けをとって反応しようとしている人。どちらが話している側にとって「真剣な」態度であるかは明白です。

デジタルネイティブの若者は、情報を自分の頭にインプットして留めておくよりも、その場で適宜検索したほうが、無駄がないと考えています。だから、彼らはいつもスマホを片手に仕事をしているのです。逆に、その場ですぐに使える便利ツールを「文鎮」のように置いておくオトナに、「なんで?」と思っているくらいじゃないですか。

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3 スマホ世代の若者脳をちょっと覗いてみる

スマホの登場は、仕事の進め方までも大きく変えました。にもかかわらずオトナ世代は、依然として自分たちに沁みついた習慣や常識にとらわれがち。
職場の電話が鳴ったら新人が3コール以内に出る。会議中にスマホをいじるのはもっての外。こんなの常識中の常識だと思うから、いちいち説明することすら馬鹿らしい。そんなふうに考えるオトナ世代は、今でも相当数いるんじゃないですか。

しかし若者の育ってきた背景をちょっと理解するだけで、若者へのイライラ・モヤモヤがけっこう減っていきませんか。「イエデンないんだもんなぁ」とか「最近家にかかってくる電話って、そういえば何かの勧誘とか怪しい電話ばっかりだもんな」とか、冷静になって考えると、若者が電話に出たがらない気持ちにもちょっと共感できます。

一方で、若者は文明の利器でもあるスマホを、我々オトナ世代の何倍も効果的に使いこなせます。議論をスピーディに進めようとして、必要な情報を入手するためにスマホをいじっているとしたら、彼らなりに、会議に真剣にコミットしている証しです。なんなら会議中に、若手にググってもらって情報を入手するのが、当たり前になってくるかもしれません。

4 イライラ・モヤモヤ解消法

さて、その上で、さらに若手とうまくやっていくには……。
それには、「目的を握ること」と「ざっくりルール化」が有効です。

目的を握ること。イコール、若者視点に立って、若者のためになる合理的な伝え方を心掛けることです。
なぜ自分たちが電話に出なくてはならないのか? 電話をとることが自分たちのメリットになると、彼らが論理的に頭で納得できるよう語ってみませんか。例えば、こんな伝え方を心掛けましょう。

「○○さんに電話です、と取り次ぐことによって、会社の中にどんな人がいるか分かる。問い合わせに答えることによって、会社の商品や業務を知ることができるし、どんな取引先がいるか覚えられる。いっぱい電話をとった人のほうが早く仕事ができるようになるよ」。

会議時のスマホ利用に関しては、ガイドラインを作ることを推奨します。あまりに厳格なルール運用だと嫌がられますが、例えば「会議の要件に関連する検索ならOK」「スマホを使うときにはひと声かけよう」くらいのことを決めるだけで、オトナ世代のイライラ・モヤモヤは相当軽減できるはず。会議のスピードアップも図れて一挙両得です。ぜひお試しください。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2022年5月27日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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提供
執筆:平賀 充記(ひらが あつのり)
株式会社ツナググループ・ホールディングス エグゼクティブフェロー 兼 ツナグ働き方研究所所長。1988年(株)リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「タウンワーク」「はたらいく」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長。2012年(株)リクルートジョブズ・メディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任、いまに至る。
著書に『非正規って言うな!』(クロスメディアマーケティング)、『神採用メソッド』(かんき出版)、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)がある。

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