年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人 杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、株式会社真面目の代表取締役である平川アズサさんです。

 まずは写真と同社HPをご覧ください。

株式会社真面目。う~ん、失礼ながら社長やHPの雰囲気からは、「どこが真面目なの?」と思わず指摘したくなってしまいます。そしてそれは、私だけではないはず。特に、同社HPのメンバー紹介は、社長以下全員がくるくる回転しているのですから……。

思わず笑ってしまいます(笑)。

こうご紹介できるのも、今回の株式会社真面目は、経営面、対クライアントの姿勢、そして何より社長の平川さんの社員を大切にする姿勢が本当に【真面目】で、それが社名になっていると感じたからです。

この記事をお読みいただいている皆さんにとっても、株式会社真面目の【姿勢】から何かヒントになることがあればと思い、同社社長の平川さんにお話を伺いました。

真面目の看板を示した画像です

1 真面目な姿勢の一端を

1)株式会社真面目の「真面目」な経営のお話

現在10名のメンバーと一緒に会社を切り盛りしている平川さん。会社の概要について聞きましたら、まず、次の3つをお話しいただきました。

  • 現在7期目で、6期までは毎年200%以上の成長を遂げている(単月にいくら売り上げる!などの細かな売上目標は特にないにもかかわらず)
  • 信組から都銀、政府系金融機関まで、「ぜひお付き合いを!」と言われている
  • 創業以来、一度も経営危機に陥ったことがない

この3つを見ただけでも、なかなかの経営手腕であることが分かります。しかしながら平川さんは、会社設立から現在に至るまで、経営に関して何か特別な勉強をしたことも、起業前から経営に携わったこともありません。いきなりスタートした会社経営ながら、危機に陥るような課題もなくここまで順調に成長されているというから驚きです。これも平川さんが事業について真面目に真摯に考え続けている証しだと感じます。

2)株式会社真面目の「真面目」な対クライアントの姿勢

株式会社真面目の主たる事業は映像制作です。聞いて驚くのは、業界では当たり前である【営業職】が同社にはいないことです。平川さんいわく、「仕事を【取りに行く】ことは一切しない。それでも、大手企業からも普通に【相談】が舞い込む。困ったら『真面目さんに聞いてみよう!』という流れができている」のだそうです。

そうは言いつつも、【コンペ】が当たり前の映像制作の世界です。先方から相談された事案であっても、コンペには参加します。6期目だった昨年(2018年)は、コンペの熾烈(しれつ)な戦いの中で【全戦全勝】という素晴らしい結果を残しています。この「負けなし」という結果にも、クライアントファーストの心意気、真面目な姿勢での取り組みがうかがえ、プロセスから結果へつながっていると感じます。

こうした「真面目」さが感じられる事例を幾つかご紹介しましょう。

・人材系大手企業の場合

最初は社内イベント用の短い映像制作を依頼され、翌年にはこれに加えてイベント全体の企画について提案するよう依頼される。そしてコンペに参加し、ライバル5社との戦いを勝ち抜き、前年に比べて数十倍の受注額を獲得。さらに翌々年には、イベントの運営まで任されることになり、受注額はさらに数倍に上昇! その大手企業グループ各社に株式会社真面目の仕事ぶりと、クオリティーの高さが伝わり、受注の輪が広がっている。

・カラオケシステム配信会社の場合

カラオケムービーのバックに流れる“かっこいい”コンテンツ映像の相談を受ける。スポーツ選手とカラオケムービーを掛け合わせる提案を行い、単発だった取引から、見事にシリーズ化が決まり、格段に取引が増える。

・某百貨店の場合

インバウンド向け“日本のおもてなし感”を新しいカタチで表現したいという相談を受ける。そこから縦型のサイネージを百貨店に設置し、全国各地を回って撮影した【日本】を意識できる映像を展開。こちらも、継続的におもてなし動画を発信し続けるほど、評価を得ている。

こうした事例から、平川さんたちは真面目にクライアントに向かい合い、良い意味で、期待を裏切る効果と結果を、クライアントにもたらせているのだと感じます。

3)株式会社真面目の「真面目」な社内・社員への姿勢

映像制作は、クオリティーが求められる厳しい世界です。こうした世界にあって、「社員のやる気をどのように引き出しているのですか?」と平川さんに聞いてみました。その答えは、「『何をやりたい?』と社員に質問すること」というものでした。

指示された仕事やディレクションが決まった仕事ばかりだと、社員であるクリエーターのテンションやモチベーションは維持することが難しい。クリエーティブな作品も生まれなくなってしまうかもしれません。そこで平川さんは、社員の“クリエーター魂”を尊重し、「何をやりたい?」との質問を投げかけているのだそうです。

そして、やりたいことを聞くだけではありません。ここがすごいのですが、たとえ何の収益を生まなくとも、社員がやりたいことや、つくりたい作品を【映像化】するところまでやり遂げるのが株式会社真面目です。

そうしてつくった映像は、近しい人に見てもらって評価をしてもらいます。たとえ仕事につながらなくとも、この社員の【やりたいこと】をつくること、そういう行動を起こすことで、会社全体のクオリティーレベルの担保にもつながっていると平川さんは話します。

一見、無駄と思えることが決して無駄にはなっていません。平川さんと社員とのこうした関係性から、社員の自覚や自立心と、社員に仕事を安心して任せられる環境が生まれ、それが、会社全体の仕事の質や生産性の高さにつながっていると感じます。

社内の集合写真を示した画像です

2 株式会社真面目の起業、映像制作に至る経緯について

平川アズサさんの経歴を示した画像です

平川さんに、これまでの人生における今の仕事へ通じるヒントや、今に至る経緯について質問してみました。

1)小学校、中学校時代の思い出は、どのような感じですか?

平川さんのご回答

『小学校低学年から学級委員を任されていました。自分から手を挙げるタイプではなかったのですが、なぜか不思議と先生から指名される感じがありました。私は、人の話を聞くときはしっかりとその人の目を見て話を聞く、下を向いて人の話を聞かないという【習性】がありましたので、自信があるように見えたのかもしれません。なんの自信もなかったのですが、先生から指名されると、「はい! やります!」とすぐに答える。断らない。そんな子供時代でした』

こうした平川さんの【習性】が、今の会社経営にも通じると思いました。できるかできないかということで悩む前に、「やってみる精神」、それが積み重なっていると感じました。

平川さんのご回答

『実は、いじめられっ子でした。中学生のときには生徒会役員をやっていたり、早々と高校入学が決まったりして、割と目立っていたことが原因だったのかもしれません。そこで、どのようなことがあってもネガティブな顔をするのではなく、常に笑顔を心掛けるようにしていました。すると不思議と運気が上がることを経験しました』

今の平川さんも、口角を上げて常に楽しい雰囲気を出し続ける、本当に笑顔のすてきな方です。周りへの良い影響を醸し出すことで、またさらに、平川さんの【笑顔エネルギー】に引き寄せられる良い人が集まってきている、そんな気がします。

2)モデル、女優業から、なぜ映像制作の道へ進んだのでしょうか?

平川さんのご回答

『20代前半まで、モデル、女優業をやっていました。競争の激しいその世界で頭一つ抜け出すには、何か【希少性】がないといけない、自分には何ができるだろうと自問自答を続けて、【台本が書ける女優になろう】と決めました。周りにも台本を書こうと思っている人は多かったのですが、実際に書く人は限られ、書き続ける人はさらに少なく、そして最後まで書き上げる人はほぼいない。私は2年をかけて脚本を書き上げ、周囲の人に出来栄えを聞いて回りました。そうすると、【面白い】という反応をいただくことができました。

そこからまた周囲に声を掛けて、映画撮影にチャレンジすることになったのです! 周囲のカンパと、休日を活用した映画制作で、制作すると決めてから完成までに1年。映画が完成しました。女優、脚本、映画制作とここまで自力で経験してみましたが、最後までできなかったのが映像編集でした。そこで、この自分にできなかった編集というものを自分の職業にしようと決断して、映像制作の会社へと転身したのです』

20代半ばから映像制作の会社に入社した平川さん。慣れない業界用語は難しい。しかも、研修など全くない世界です。そうした中で平川さんは、一つ一つをクリアして自分のものにしながら、着実に成果を出し、成長されていったそうです。加えて、子供の頃からの【習性】であった「下を向かないこと」、これが効いてこの映像制作の会社でも【抜てき】されることになります。例えば、平川さんは、入社3カ月で制作監督の仕事を任されたことがあるそうです。ここでも尻込みすることなくやり切り、周囲から認められる存在になりました。

この映像制作の会社で培ったさまざまなことがきっかけとなり独立を意識し始め、30歳を目前に決意を固め、平川さんは株式会社真面目の設立へ向かうこととなりました。

平川アズサさんの近影を示した画像です

3 株式会社真面目の今、そして未来像について

1)普段の平川さんの仕事ぶりについて

ここで、最近の「48時間のタイムスケジュール」から、平川さんの仕事ぶりを見てみましょう。

  • 朝4:30起床→5:00に会社に集合し、そこから八王子のスタジオへ(平川さん自らワンボックスカーを運転するそうです)
  • この八王子のスタジオにて21:00までミュージックビデオの撮影
  • 22:00過ぎに帰社、そこから翌日の打ち合わせ
  • 24:00帰宅の途へ
  • 帰宅後も翌日(日付が変わっているので当日?)の資料の確認後、3:00に就寝
  • 朝7:00に起床
  • 午前中はクライアント訪問前にオンラインでミーティング
  • そこからクライアント訪問
  • 午後は採用面接、その後、前日の映像チェック
  • 23:00に帰宅

社長業、運転手、クライアント対応、面接官、クリエーティブディレクターなどなど、平川さんは多種多様なことをやり切っています。平日は全力で仕事に取り組み、会社と社員に向き合う。平川さんは、そのような毎日が本当に楽しいと語ります。

なんでもない私や、価格もカタチもないアイデアに何百万円、何千万円も投資していただいているクライアントに、感謝しかないです」と笑顔で語る平川さん。こうして、クライアントの喜びが自分たちの喜びになっているところが、平川さんたちの素晴らしさの一つです。まさに、「【無心】に事業に向き合い結果がついてくる」のだと思います。平川さんの仕事ぶりから株式会社真面目の今が垣間見える気がしました。

2)発信力を大切にしていて、SNSをうまく活用している

ご紹介でさまざまな企業の方とお会いする際に、平川さんが心掛けているのが、Facebookの友達申請やメッセージです。平川さんたちには、クライアントとのコミュニケーションにも工夫があります。例えば、クライアントのご担当者の誕生日や記念日に動画メッセージを送って気持ちを伝えています。また、会社のFacebookページを小まめに投稿することで、会社の活動を発信しているそうです。

●株式会社真面目のFacebookページ
https://www.facebook.com/majime.co/?epa=SEARCH_BOX

同社のFacebookページからも、平川さんのコメントからも、社員との家族的な付き合い、関係性を感じることができます。平川さんは、「社員が好きです、家族みたいなもの」とも。

ただし、この家族主義的関係性を維持する上で平川さんが決して目をそらしていないのが、「手を抜く人や一生懸命さを欠く人は、自然に離脱していく」ということです。会社経営はきれいごとではありません。家族主義だからこそ、よそよそしくすることなく、つらくても伝えるべきことを正面からきちんと話す。そこが結局、株式会社真面目の家族的な環境につながっているなと思います。

最後に、株式会社真面目の未来について平川さんに尋ねてみました。すると真っすぐな一言が返ってきました。

社員の子供が入社したくなる会社づくりです!

非常に明快なお返事を、すてきな笑顔でいただきました! 株式会社真面目の「真面目」な取り組みが、さらに発展されると感じ入るインタビューでした。

社内の集合写真を示した画像です

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年6月27日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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提供
執筆:杉浦佳浩 (すぎうら・よしひろ) 代表世話人株式会社代表
三洋証券株式会社入社(昭和62年)。鹿児島支店にて勤務。地元中小企業、個人富裕層の開拓を実施。 日経平均最高値の2カ月前に退職。次に日本一給与が高いと噂の某電機メーカーに転職。埼玉県浦和(当時)にて、大手自動車メーカー、菓子メーカー、 部品メーカー等の主力工場を担当。 退職時は、職場全員から胴上げ。そして、某保険会社に二十数年勤務後、平成26年末に退社。在社中は、営業職、マネジメント職を経験して、リテール営業推進、若手人財育成を中心に担当していた。 社外の活動も活発に行っていた。平成27年1月1日、代表世話人株式会社を設立。
同社代表取締役に就任。世話人業をスタート。年間1000人以上の経営者と出会い、縁をつなげている。

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