年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、橘 嘉宏(たちばな よしひろ)さん(三菱地所株式会社 住宅業務企画部)です。

橘さんが今まさに力を入れているのは、総合スマートホームサービス「HOMETACT(ホームタクト)」です。2022年12月に東京ビッグサイトで開催された「スマートハウスEXPO」にもひときわ目立つブースで出展され、HOMETACTは大盛況、かなりの人だかりでした。
このHOMETACTがまずすごいのは、複数メーカーのサービスを横断していて、ユーザーが簡単に一元管理・操作できることです。日本国内でスマートホームは、ユーザー(消費者)側の関心は高いものの「複数の家電メーカーが関係していると、個々のアプリがいくつもバラバラにあって操作が面倒」などが障壁となり、なかなかうまくいっていませんでした。
 これを、橘さんは、「日本に前例がなければ米国から持ってくる」という圧倒的な行動力、行動量、巻き込み力、やり切り力で「徹底した複数メーカー横断一元管理」を実現しています。大企業にいながらベンチャー経営者のような動きでHOMETACTを実現してきて、さらにこれからも進化を加速させようとしている橘さん。
スマホ一つで家ナカを思い通りに設定でき(カーテン開閉、温度、照明、音楽など)、新しいライフスタイルを創造していくHOMETACTそのものが素晴らしいのはもちろん、そこにガッツリ心血を注いでいる橘さんの考え方、動き方、進め方も素晴らしく(お話お伺いしていて興奮の連続でした)、多くの経営者やビジネスパーソンにとってヒントになるのではないかと思います。37歳の橘さんがどのようにしてHOMETACTを実現してきたのか、その機能の裏にある思い、実現してきた道のりなどを伺いました。

1 「HOMETACT」便利さの原点は「徹底してユーザーの気持ちに寄り添う」

1)ユーザーの気持ちに徹底して寄り添う

ここで改めてお伝えしますと、「スマートホーム」とは住宅設備や家電などのIoT機器を、スマホアプリやスマートスピーカーと連携させた住宅のことです。ドアの施開錠、照明や空調のコントロールを遠隔で操作できるなど、暮らしをより快適にする住まいのかたちです。

 そして、こちら(下資料)が橘さんが実現しているスマートホームサービス「HOMETACT」です。特に動画を見ていただくとどのようなサービスか分かりやすいと思います。テクノロジーの力で毎日の生活が“簡単に”快適になる、理想の暮らしがそこにあります。

●HOMETACT

HOMETACTの画像です

(出所:HOMETACT ウェブサイトより)

●HOMETACTがある暮らし(動画)

(出所:HOMETACT限定公開資料より)

冒頭でもお伝えした通り、HOMETACTが従来のサービスと全く異なるのは、複数のメーカーのサービスを横断して一元管理できることです。徹底的にシンプルなデザインとユーザビリティにこだわっていて、エアコンも給湯も、ユーザーが触るスマホの画面上では「メーカーのロゴなどなく、機能も最低限なので、どこのメーカーか分からなくなっている」くらいです。橘さん曰く

「ユーザーから見ればどこのメーカーのエアコンか給湯かなんてどうでも良い。エアコンなら、暑いとき寒いときにつけられればよい、快適な温度にできればよいわけです」

まさに、ユーザーの気持ちはそうです。橘さんがHOMETACTで実現している徹底したユーザビリティ。次のような「スマートホームが普及しないマイナスの“あるある”」を橘さんは大きく変えました。

  • メーカーやプラットフォームが異なると、それぞれのアプリで操作しなければならず、面倒。ユーザーにとってハードルが高い
  • そもそもユーザーは初期設定でつまずく
  • 運よく設定できたとしても、使っているうちにトラブルが起き、問い合わせたくても、メールフォームやチャットしかなく、ユーザーが思った通りに解決できない

●HOMETACTのユーザーが触るスマホの画面:メーカーに関する表示は一切なし

HOMETACTスマホ画面の画像です

(出所:りそなCollaborare事務局撮影)

2)「超簡単に使える」のは機能を絞っているから

機能を絞り込んでいるのもHOMETACTの大きな特徴です。「日本のサービスは、なんでもとてもよく作り込まれています。例えば100の機能を実装し、さらに操作も4階層、5階層と深くなる。ただユーザーからすると、実際に使う機能は、そのうち5つくらいですし、操作もせいぜい2階層くらいでないと使いにくい」と橘さん。その言葉通り、HOMETACTは機能を絞り込んでいてあれこれ操作しなくてもよく、とても簡単&便利です。

また、初期設定は訪問で行いますが、以降は基本的に遠隔でトラブルシュートを行える体制を整えています。そうしたユーザーサポートは大手サービサーとの協業で成り立っています。初期設定から保守運用まで、本当によく考えられているサービスだと改めて感じます。
さらに言うと、橘さんが、ひいては三菱地所が、本腰を入れてこの総合スマートホームサービスをさまざまなメーカーなど「やる気のある企業」と連携して広げていく、継続していくという総合デベロッパーとしての覚悟をも感じます。

3)HOMETACTで実現できる自由自在に快適な暮らし

HOMETACTの機能をもう少しお伝えしておきます。位置情報や時間、特定のデバイス動作をトリガーとして、複数のIoT機器を自動で動かすことができます。例えば「帰宅間近になると、部屋の明かりをつけ、エアコンを入れて、風呂を沸かしはじめる」「日没の2時間前から、照明を間接照明にする」といった使い方があります。

日の出や日没の時間で設定できると、季節に応じてカーテンが開いたり照明が点いたりする時間が変わるので、季節感まで自動的に感じることができるという、まさに色々な意味で「温度感のある家」。まるで、家全体が人のように自分たちに寄り添って生活してくれているようです。HOMETACTを体験すると家に対して、何か温かい気持ち、家や暮らしを大切にしようという気持ちが湧いてきます。HOMETACT Labs 赤坂(東京都)では、まさにこのHOMETACTを体験・体感できます。スマートホームのパートナー企業をご検討されている場合などは必見です。家や暮らしに対する価値観がきっと変わります。

●HOMETACTが体験・体感できるHOMETACT Labs 赤坂をご案内くださる橘さん

橘さんの画像です

(出所:りそなCollaborare事務局撮影)

HOMETACTの「タクト」には、臨機応変、機転の効くといった意味が込められています。ユーザーのニーズによって臨機応変に機転が効いてくれる自由自在な家、そういう家に、「指揮して(タクトを振って)オーケストレーションしていく」という意味も、「タクト」にはあります。実にネーミングの通りのサービスだと思います!

HOMETACT資料の画像です

(出所:HOMETACT限定公開資料より)

20年以上にわたり、各社が競り合って、自社の規格としか互換性のない商品開発に励んできたスマートホームの日本市場。「メーカーによるユーザーの囲い込み、これが結局ユーザーのためになっていなかった」と橘さんは振り返ります。橘さんは、米国で当たり前に行われているメーカー間の連携を日本に持ち込み、かつ、日本の不動産管理習慣や商習慣に適したプラットフォームを実現しました。これは、本当に並々ならぬことです。日本のスマートホーム市場の進化を牽引していくサービスであると確信しました。
次章では、そんな橘さんのこれまでを振り返ってみます。

2 「猪突猛進」に事業を進め、やり切ってきている橘さん

1)20代で事業立ち上げを経験したことが原点

足かけ4年、HOMETACTを進めてきてリリースしさらに進化させようとしている橘さん(すごいスピード感です)。自社やグループ会社内で音頭を取る他、メーカー間を横断する協力体制をまとめ上げ、海外企業とも協業。HOMETACTを1つのサービスとしてユーザーに提供できるまでにしました。「ユーザーから見れば、サービスが一体的でとても簡単に使える」ようになっていればいるほど、その裏側の作り手には相当の汗、苦労、思いが込められているものだと心底実感します。

ここまでのものを実現してきた橘さんの行動力、やり切り力の源泉は、橘さんがこれまで携わってきた事業企画にありそうです。
橘さんは、2008年に三菱地所に入社。連結決算などの経理部業務を4年間経て、2012年から住宅開発分野へ異動し、マンションの分譲や販売、計画を行う三菱地所レジデンスに、約3年間勤務しました。そのときに1棟リノベーション事業を立ち上げたのだといいます。
橘さんは当時、「他の人と同じことをやっていることへ違和感があり、何か新しいことをやりたい」と考えていたそうで、ちょうどそのころ、東京都内で築15年ほどのマンションが1棟売りに出ていたといいます。

この築15年ほどのマンションについて、橘さんは「普通にやっても勝負にならないなと。平均200平米超えのマンションだったのですが、おそらくリノベーションして売ったほうが回転率も上がるし、かつ物件の付加価値もより上がるのではないかと考えました。そこで、200平米超えという、普通の新築だとありえない規格を活かした販売戦略が取れるのではないかと、1棟リノベーション事業を立ち上げました」と話します。そして、2年がかりで販売完了までに至ります。これが事業立ち上げの経験になっており、ここで自分は事業企画が好きなのだと実感したそうです。若い20代のうちに事業立ち上げを経験したのは、非常に大きかったのかもしれません。

2)30歳前後でグループ会社内の縦割りを打破する業務を担う

2016年から、橘さんが担ったのは住宅事業部門のバリューチェーン推進業務です。グループ会社連携はもちろん、DX機能の立ち上げや、新規事業の発掘を行っています。
「その中でも大きな転機になったのが、2016年から2018年の三菱地所グループCRMシステムとグループ顧客向けサイトの統合プロジェクト『三菱地所のレジデンスクラブ』PJです」と橘さん。

当時、三菱地所グループの住宅部門のCRMシステムは13個ほどあり、さらにグループ7社にまたがっているような状態でした。かつ会員組織もバラバラになっていたそうです。それらを1つに名寄せして統合し、データプラットフォームと顧客窓口を整備するというこのプロジェクト、お話をお伺いしているだけで、途方もない、調整が相当に大変そう、実現が無理なのではと思う内容です。
このプロジェクトのことを、橘さんは次のように振り返っています。実に苛烈で、強い信念を持たなければ進められない現場が目に浮かびます。

「このプロジェクトは、個人的にはすごく大きかったです。私が29歳とか30歳くらいのときだったのですが、グループ会社で対峙する人が、総勢30人くらいいました。そして、途中からは私が中心となって打ち合わせを進めなければならなくなりました。
最初は、私より年長のグループ会社の経営企画や情シスの部長・課長たちに気を使いながら進めていたのですが、途中から、強烈にリードしないと実現できないと感じるようになりました。
例えば各社の情報ポリシーもバラバラでしたし、まず個人情報の保護ポリシーをグループで統合する基本的なところから、システム設計をどうするか、名寄せのルールをどうするかなどなど。とにかくがむしゃらにやっていたら、私もきつく言わざるを得ない場面も出てきました。
結果的には、かなり強いリーダーシップで、最後の方には、もうやるのかやらないのか、30歳前後ぐらいの若造(自分)がげきを飛ばしながらやるような激しいプロジェクトになっていました。でも一方で協力者もちゃんと増えていったんです」

2018年の6月にリリースを迎えるまでに、グループ会社だけでなく、ベンダーの方々なども含めると、150名ほどは関わっていたプロジェクトだったといいます。150名! これはもう、いちプロジェクトのリーダーという域を超えた業務領域です。想像を絶します。この過程で経験したことがHOMETACTへも繋がっているといいます。

CRMの統合や会員組織の統合、立ち上げについて、橘さんは、「私たち不動産事業者には、デジタル接点をお客さまと作りたいという、強烈なニーズがあります。そこに対して、グループで最低限、統合してデータマーケティングの基盤を構築しないことにはその先はないだろうと、私なりにかなり危機感と問題意識を持って取り組んでいたプロジェクトでした」と続けます。
この危機感から橘さんがたどり着いたのがHOMETACTの原点「スマートロック」です。

「スマートロックをきちんと導入してシステム連携し、会員組織と結びつければ、1日2回は使われるはずだということに気付きました。そこで不動産会社が、デジタルで顧客との接点を作ろうと思ったときに、スマートロックを取り込まない手はないだろうと。その仮説のもと調査を始めたことが、HOMETACTへと繋がっていきました」。橘さんの成し遂げてきたこと、考え抜いて来たことが、今すべてHOMETACTにつながっているということがよく分かります。

3)CESで受けた衝撃。日本がIoTで遅れを取った理由

HOMETACTの実現には、橘さんの海外調査も大きく関わっています。橘さんは2019年ごろからスマートホーム先進国のアメリカでの調査を重ね、どんなIoT機器がありどのように使われているのか、どのようなサービスが提供されているのかなど徹底的に調査を続けました。

2020年1月にはラスベガスで行われるハイテク技術見本市「CES」に参加した橘さん。そこでCESの実態に驚きます。CESは、他国のメーカーにとって単なる展示会ではなく、実はホテルのVIPルームで商談が行われる場でした。「展示会を見て喜んでいるのは日本人だけ。日本で報道されていることはほんの表層にすぎない」と危機感を抱いた橘さん。自身も展示会へ参加しつつ、あとは商談で具体的な話をするという“本来のCES”を体験して「この市場の動きは日本も目指すべきところだ」と確信したといいます。

またのちにパートナーとなる、クラウドによるIoT機器のAPI連携プラットフォームを提供している米国のYONOMI,Inc.(以下「YONOMI」)と連携することで合意に至ったのもこのタイミングでした。YONOMIとは、2020年、コロナ禍前に「日本で実証実験を行う」話をしており、それも大きなターニングポイントになったそうです。
橘さんはこのYONOMIの機能を活かし、かつ日本の不動産実務にフィットさせたプラットフォームを開発します。プラットフォームをそのまま海外から持ってこようとしていた時期もあったそうですが、日本の不動産の管理慣習にフィットしたシステムなど欧米にありません。議論や調査の末、日本にフィットしたものを自分たちで作らなければならないという結論に至り、HOMETACTおよびTACTCORE(アプリ、管理ポータルや機器連携を実現させるプラットフォームシステム)を開発したのだそうです。
外(海外)へ出て、外から新しいものを持ってくる。そして日本に合うようにつくる。これをやり切った橘さんです。橘さんでなければできなかったと思います。

帰国後の2020年の5月から、プロトタイプの開発を始め、わずか約1年半後にはHOMETACTのプレスリリースを出すに至りました。以来、機能改善などを重ねており、HOMETACTを導入した自社グループ物件は4物件。今後も賃貸・分譲マンションや注文戸建、リフォームなど導入を加速していきます。
2022年7月に経営会議に付議し事業化承認を経て、ようやく本格的に事業化。わずか4年でここまでたどり着いたというスピード感!そして事業化承認と併せて、HOMETACTの外部提供も開始。本格的なSaaS(System as a Service)外販をスタートさせています。

「普通なら、4年もあれば、その間に異動してしまう可能性もあると思います。だから私はすごくラッキーでした。ここまでやり切らせてもらえましたから。ただ、システム開発1つをとっても2年以上はかかっていますから、時間のかかるプロジェクトを、いかにスピード感を持って進めるのか。そこは大切にしてきました。1〜2年でできるDXや新事業なんてそうありませんから。HOMETACTはまさに不動産会社である三菱地所が始めた、ソフトウェアサービス。DXの『X』はTransformation(変態、変身)であることをみな忘れがちですが(デジタル化のことではないのです)、個人的には『これぞDX!』と胸を張れるPJです」

と言う橘さん。この点は規模や業種にかかわらず、全ての企業が参考にしたいところかもしれません。

3 社内外を巻き込み続けてきた秘訣

橘さんがこれだけの大きなプロジェクトを進めるには社内もグループ会社も、そして他社(ベンダーやメーカーなど)も、色々と巻き込まなければなりません。橘さんのお話を伺っていると、秘訣としては「腰を据えて取り組むことができた」「全体最適の丁寧なコミュニケーションを実践した」といったことが伺えます。

1)腰を据えた取り組み

橘さんは住宅業務企画部に8年在籍しているそうです。これは、通常3〜4年で異動する大企業では珍しいことです。橘さんはこのことについて「中長期的なキャリアを築けたのは幸せなこと。DXや新事業をやり遂げるためには、腰を据えて取り組ませてもらえる環境も、重要な要素だと思う」と話しています。このことも、新規事業に取り組む全ての企業にとって大切なヒントになるのではないでしょうか。
同時に、「部下(自分)の裁量をどんどん大きくして成長させてくれた上司との出会いもとても大きかった」と振り返る橘さん。「信頼する上司と8年間一緒に様々なPJを推進してくることができたのは、大企業では滅多にないことだとおもいます」。この上司と橘さんのコンビが最強だったようです。部下のほうから「人を成長させてくれることに長けた素晴らしい上司」と言われるほどの上司はなかなかいないでしょう。本当に素晴らしい上司、そして受け止めて成長した橘さんも素晴らしいのだと思います。

2)「全体最適」の丁寧なコミュニケーション

グループ会社内を横断することが一筋縄ではいかないのは想像に難くありません。むしろ大変さしか思い浮かびません。どのように進めていったのかをお聞きすると、橘さんは、自分1人の力では難しかった点も多いと前置きしつつ、次のように話してくれました。

「グループ会社との難しい交渉は、例えばその会社のポリシーとの戦いのようなものです。そうなると、役員クラスの方々の巻き込み方が大事になってきます。そうしたときに、私の上司は社内調整が非常に丁寧で、きちんと双方の落としどころを探りながら会話をしつつ、グループ全体としての目線を持った落としどころに着地させていました」
「その上司と私がよく話すのが“全体最適”と“部分最適”についてです。私たちは、全体最適の観点を常に重視しています。グループ会社を束ねる立場なので、短期的にはグループ各社の思いや利益はあるとしても、必ず“全体最適”の概念を持たせる。もしくは“全体最適”の概念を持っている社員を1人でも多く増やす。そのことに、私たちはこの8年間、一緒に取り組んできたと思っています。かなり地道なコミュニケーションに尽きるのですが、そうした啓蒙活動や社員の巻き込み。今振り返ると、これを非常に丁寧にやってきたと思います」

「全体最適の丁寧なコミュニケーション」。言うは易しですが、これは非常に難しいことだと思います。橘さんは、「全体最適」を見つつ、「全体最適だからと妥協せず、丁寧にやるべきことを実現してきた」感じで、地道に丁寧に、でもスピード感も忘れずに進めてきた。うまく表しきれませんが、地に足のついた、地面をコツコツと耕し続けるような力強さと大きな器、他にあまり類を見ない凄みを感じます。

4 目指すのはスマートホームサービスのインフラを担えるポジション

さて、こうしてHOMETACTを実現してきた橘さん。ポイントは色々とありますが、特に下記の両方のアプローチを大事にすることが、今回のプロジェクトで重要だったと振り返ります。

  • システム開発のような最短距離を駆け抜けるときには、今までの常識にない動きをしつつ
  • スケールアップさせるときには、丁寧に進めていく

 最後に、これからのことを橘さんにお伺いすると、次のようなことをお話しいただきました。

「賃貸管理のデジタル化を、スマートロックとの連携によって実現していきたいと考えています。それが両方機能するようになれば、HOMETACTは賃貸市場によりアプローチしやすくなります」
「日本における、スマートホームの主な使われ方でもあるのですが、エネルギーの可視化ソリューションとしての側面が大切です」

そして特に力強い覚悟を感じたのが今後についての次の言葉です。

日本はスマートホームサービスのプラットフォーマーが不在です。ですから、私たちが新しい生活インフラを担うという覚悟を以て、プラットフォーマーのポジショニングを目指しています

こうしたHOMETACTとは、さまざまな企業や機関が連携したいと考えるのではないでしょうか。地場のハウスメーカー、デベロッパー、マンションメーカー、家電メーカーなどなど。その他にも、生活インフラとなる企業(インターネットプロバイダー、電力やガスなどエネルギー系)、地元の金融機関なども考えられるかもしれません。人々の暮らしという面でも、ビジネスの面でも大きな大きな可能性を感じるHOMETACTです。
今では、三菱地所は、LIXIL、mui Labとスマートホーム事業領域での提携に向けた基本合意書を交わし、HOMETACTアプリでの使用エネルギーの見える化や省エネの推進などによる脱炭素社会への貢献も目指しています(2022年11月30日プレスリリース)。進化が止まりません。

そして橘さん、37歳。ここまでのことをやり遂げてきた方、とても文章で表しきれないくらい、ちょっと凄すぎる方です。しかも明るくて楽しくてサービス精神も旺盛! こういう方がいてくださるなら、未来は大丈夫と思えます。これからも橘さんのつくる未来に大いに期待します! 有り難うございます。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2023年2月1日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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執筆:杉浦佳浩 (すぎうら・よしひろ) 代表世話人株式会社代表
三洋証券株式会社入社(昭和62年)。鹿児島支店にて勤務。地元中小企業、個人富裕層の開拓を実施。 日経平均最高値の2カ月前に退職。次に日本一給与が高いと噂の某電機メーカーに転職。埼玉県浦和(当時)にて、大手自動車メーカー、菓子メーカー、 部品メーカー等の主力工場を担当。 退職時は、職場全員から胴上げ。そして、某保険会社に二十数年勤務後、平成26年末に退社。在社中は、営業職、マネジメント職を経験して、リテール営業推進、若手人財育成を中心に担当していた。 社外の活動も活発に行っていた。平成27年1月1日、代表世話人株式会社を設立。
同社代表取締役に就任。世話人業をスタート。年間1000人以上の経営者と出会い、縁をつなげている。

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